約19年間潜伏、高い危険度の脆弱性
今回発見された脆弱性は、2007年にLinuxカーネルに取り込まれたコードに起因し、約19年間修正されることなく存在していました。権限昇格の成功率は99%以上、実行時間は1秒未満と、ほぼ確実かつ短時間で攻撃が成功してしまう危険度の高いものです。権限昇格とは、攻撃者が本来許されていないより高い権限を不正に獲得し、操作範囲を広げる行為を指します。
この脆弱性は、Linuxカーネルのネットワーク機能「bonding」に存在する「type confusion(型の混同)」として特定されました。影響範囲はLinux 2.6.24から6.12.77までと広範囲に及びます。能動的に狙うことで初めて発現する極めて限定的な条件下でのみ顕在化する性質のため、通常利用の中で発見される可能性が著しく低く、これまで見過ごされてきたと説明されています。
発見には、カーネルファジングツール「syzkaller」が偶然検知したクラッシュを、AIも活用しながら詳細に解析したことが寄与しています。ファジングツールとは、ランダムな入力を大量に送り込み、バグを自動検出するテストツールです。
AIと人の知見の融合が成果に
この脆弱性の発見は、ホワイトハッカーの知見と、同社が内部で活用してきたAIを適切に組み合わせることで実現しました。同社は、こうしたAI活用の取り組みを、サイバーセキュリティに特化したAI基盤「AIホワイトハッカー byGMO」(2026年7月27日発表)として体系化しています。
今回の成果は、AIと人の知見の組み合わせが、従来見つけることが難しかった未知の脆弱性の発見につながる可能性を示すものとしています。
対策は最新バージョンへの更新が有効
本脆弱性は2026年3月に修正が適用されており、主要なLinuxディストリビューションの最新バージョンでは修正が反映されていると見込まれます。利用中の環境を最新バージョンへ更新することが最も有効な対策です。
修正の適用が難しい環境においては、「bonding」機能を無効にする、または非特権ユーザーによるネットワーク名前空間の作成を制限するなどの緩和策により、本脆弱性の影響を回避できるとしています。
より詳細な悪用可能条件、影響範囲、対策については、同社のブログで確認できます。
https://gmo-cybersecurity.com/blog/19-year-old-linux-kernel-zero-day/
発見者が語るAI活用の未来
同社の上席執行役員CTO 兼 高度解析部部長である小池悠生氏は、今回の発見について「ホワイトハッカーの知見とAIを組み合わせることで、本脆弱性を発見しました。近年の特にOSSに対するフロンティアAIの知識には目を見張るものがあります」とコメントしています。
一方で、「AIのみで今回のような複雑な脆弱性が突き止められるか」という問いに対しては、「少なくとも現時点ではまだ難しいが答えではないでしょうか」と、AIの限界についても言及しています。同氏は、今後も卓越したホワイトハッカーの集団として、AIを最大限活用し、攻撃者よりも早く未知の脆弱性を発見し、修正に貢献できるよう尽力していくと述べています。
GMOサイバーセキュリティ byイエラエとは
GMOサイバーセキュリティ byイエラエは、国内最大規模のホワイトハッカーで組織されたサイバーセキュリティのプロフェッショナルカンパニーです。各種脆弱性診断、ペネトレーションテスト、セキュリティコンサルタント、SOCサービス、フォレンジック調査まで包括的なサイバーセキュリティ対策サービスを提供しています。
AIホワイトハッカー byGMOとは
「AIホワイトハッカー byGMO」は、GMOサイバーセキュリティ byイエラエが提供する、サイバーセキュリティに特化したAI基盤です。独自開発または一般利用可能なAIモデルと、世界トップクラスのホワイトハッカーの知見を組み合わせて構成されています。
ソース元
ページタイトル: GMOサイバーセキュリティ byイエラエ、19年間見過ごされたLinuxカーネルの脆弱性をホワイトハッカーの知見とAIで発見 Google「kernelCTF」にて8万米ドル超の報奨金を獲得
URL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005461.000000136.html
