企業動向

日本エンドポイントセキュリティ市場、2030年までに約5.2億ドル超へ拡大か 市場調査レポートが動向分析


東京都港区に本社を置く株式会社マーケットリサーチセンターは、日本のエンドポイントセキュリティ市場に関する調査レポートを発表しました。同レポートによると、市場は2030年までに約5億2,000万米ドルを超える規模に成長する見通しです。高度なサイバーリスクの高まりを受け、国内市場はソリューション、サービス、展開形態、企業タイプなど多角的に進化を遂げているといいます。

日本市場の変遷と現状

日本におけるエンドポイントセキュリティは、世界の動向に合わせながらも、正確性やローカライズ、業界特有の要件への適応を重視して変化してきました。高度な製造業、金融業界、重要インフラを標的としたサイバーリスクが増加する中、従来の事後対応的な戦略から、分散したデバイスをマルウェアやランサムウェア、フィッシング、不正アクセスから保護する予防的なアプローチへと進化しています。

2000年代初頭に海外製アンチウイルスソフトウェアが市場に登場したのが始まりです。しかし、金融、自動車、エレクトロニクス分野の急速なデジタル化に加え、WannaCryやサプライチェーン攻撃といった脅威の発生により、日本企業は高度なエンドポイント保護プラットフォーム(EPP)やエンドポイント検知・対応(EDR)ソリューションの導入を余儀なくされました。現在では、中小企業から三菱や日立のような大企業まで、幅広いユーザー層が安全なエンドポイントを必要としています。

日本のエンドポイントセキュリティは、軽量エージェント、リアルタイム保護、AIを活用した脅威分析を優先し、現地のOS構成や言語パックへの対応を備えているとされています。トレンドマイクロ、NEC、富士通などの国内ベンダーはイノベーションを牽引しており、国立研究機関や産官連携もAIサイバーセキュリティ、ゼロトラストフレームワーク、デバイスレベル脅威検知の進歩を促進しています。

最近の動向としては、重要インフラの保護と中小企業のレジリエンス強化を強く重視した日本政府の「サイバーセキュリティ戦略」の改定が挙げられます。また、トレンドマイクロ・ジャパンによるXDR対応エンドポイントプラットフォームおよびAI強化型検知機能の導入も進んでいます。2025年大阪万博のような主要イベントを控え、日本はデジタルセキュリティの強化に向けて全国的な取り組みを進めている状況です。

ソリューションとサービスの進化

現在の日本市場では、アンチウイルス、アンチマルウェア、エンドポイント検知・対応(EDR)、暗号化、デバイス制御などのソリューションが市場シェアの大部分を占めています。リモートワークやBYOD(持ち込み端末利用)の普及、産業用IoT(IIoT)の導入拡大に伴い、企業はゼロデイ攻撃やランサムウェア、不正なデータ転送から保護できる、多層的で拡張性のあるエンドポイント保護ソリューションを優先的に導入しています。

サイバーセキュリティレポート

一方、マネージドセキュリティサービス、コンサルティング、インテグレーション、トレーニングを含むサービス業界も急速に成長しています。特に社内のサイバーセキュリティリソースが不足しがちな中小企業や政府機関を中心に、24時間365日の保護を維持し、対応時間を短縮するために、エンドポイントの監視や脅威への対応をマネージドセキュリティサービスプロバイダー(MSSP)にアウトソーシングする傾向が強まっています。サービスプロバイダーは、「マイナンバー法」、「JIPDECプライバシーマーク」、および「ISO 27001」などのフレームワーク遵守を支援しています。

主要垂直市場の動向

エンドポイントセキュリティは、日本の様々な産業分野で不可欠な要素となっています。

  • 銀行・金融サービス業界: フィッシング、ランサムウェア、データ窃盗からの防御のため、リアルタイム監視、暗号化、多要素認証を含む強固なエンドポイントセキュリティが求められています。キャッシュレス決済の普及やフィンテック分野の技術進歩が背景にあります。

  • ディスクリート製造業: スマートファクトリーやIIoTの統合により、特に自動車・エレクトロニクス産業でエンドポイントセキュリティが重要視されています。接続されたデバイスと業務システム間の通信の安全性を確保し、産業スパイや知的財産の盗難を防止する役割を担います。

  • 政府機関: 市民のデータや重要インフラを保護するため、デジタル庁や総務省が推進するセキュアなエンドポイント導入に投資しています。ソリューションは厳格なプライバシー法に準拠し、マイナンバーやJIPDEC基準などの国内フレームワークと連携する必要があります。

  • 医療機関: ランサムウェアの脅威や医療用IoTの脆弱性に対処し、患者情報を保護するため、エンドポイントソリューションが採用されています。集中型エンドポイント管理およびEDR技術への需要が高まっています。

その他、化学や医薬品などのプロセス産業、通信分野、エネルギー・公益事業、小売、物流、教育、投資サービスなど、幅広い分野でエンドポイントセキュリティの導入が進んでいます。

展開形態の多様化と企業規模別の対策

エンドポイントセキュリティの展開形態は、企業のニーズに応じて多様化しています。金融、防衛、公共サービスセクターの組織は、厳格な規制要件や海外からのデータアクセスへの懸念から、オンプレミス型ソリューションを選択することが多いとされています。これにより、より高い制御性と柔軟性が得られ、個人情報保護法(APPI)などの日本のデータ保護規制への準拠も容易になります。

一方、クラウドベースのエンドポイントセキュリティは、特に大企業、中小企業、およびEコマース、教育、遠隔医療などデジタルトランスフォーメーションが進む業界で普及が進んでいます。スケーラビリティ、一元管理、初期費用の削減といった利点が魅力とされています。NTTコミュニケーションズ、富士通クラウド、NECといった国内プロバイダーや、トレンドマイクロ、クラウドストライクといったグローバルベンダーが、AIを活用した脅威検知などの機能を強化しています。

既存インフラとクラウドの俊敏性を組み合わせるハイブリッド展開モデルも活用が進んでいます。通信、物流、製造などの業界では段階的な移行戦略を可能にし、重要な業務のための社内システムを維持しつつ、安全なリモートワーク環境を実現しています。これは、データ主導の超接続社会である「Society 5.0」へと日本が近づく中で重要な意味を持つといいます。

企業規模別では、日本企業の約99%以上を占める中小企業(SME)が、ランサムウェア攻撃やフィッシング詐欺の増加を受け、エンドポイント保護の必要性を認識しています。IT予算の不足や専門知識の欠如を背景に、費用対効果が高く、拡張性があり、導入が容易なマネージドセキュリティサービスやクラウドベースのソリューションへと移行しています。大企業は、銀行、自動車、製造、通信、政府機関などの業界で、高性能かつ高度にカスタマイズ可能なソリューションを必要とし、ハイブリッド展開モデルやAI駆動型脅威検知などを導入しています。

エンドポイントセキュリティとは

エンドポイントセキュリティとは、企業のネットワークに接続されるデバイス(エンドポイント)を保護するためのセキュリティ対策を指します。デスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレット、スマートフォンなど、様々なデバイスに適用されます。エンドポイントは企業の情報やシステムに直接アクセスできるため、適切なセキュリティを実施しないとサイバー攻撃や情報漏洩のリスクが高まります。

主な種類としては、ウイルスやマルウェアを検出・排除する「アンチウイルスソフトウェア」、不正なアクセスを防ぐ「ファイアウォール」、エンドポイントへの攻撃兆候をリアルタイムで監視し対応する「エンドポイント検出と応答(EDR)」、従業員のモバイルデバイスを安全に管理する「デバイス管理(MDM/EMM)」などがあります。これらの対策は、リモートワークの普及に伴い、企業環境における顧客情報や機密データの保護において特に重要性を増しています。また、クラウドセキュリティやAI、機械学習といった関連技術と連携することで、脅威検出精度や対応能力の強化が図られています。


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