TikTok(ティックトック)禁止の流れはどこまで広がるのか。TikTokのセキュリティリスクとは。
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アメリカのポンペオ国務長官がFOXニュースのインタビューでTikTok(ティックトック)の使用禁止を検討していると発言したとBloombergなどが報じている。
TikTokは中国・北京のバイトダンス(ByteDance、字節跳動)が運営している短編動画投稿アプリで、全世界で5億人のユーザーを抱える人気アプリ。
主要ユーザー層は16歳から24歳の若い世代であり、日本国内でも950万人のユーザーがいるとされる。
今、この人気アプリは各国での利用禁止や禁止を検討する動きの中で大きな岐路に立たされている。
TikTok(ティックトック)禁止の流れ
TikTok(ティックトック)の情報は中国に?
TikTokの情報が中国に送られているのではないかという疑念は長らく付きまとってきたものであり、実際中国共産党の影響を受ける北京本社の「検閲ガイドライン」を報じたメディアも存在する。
バイトダンスはこのガイドラインについて否定するのではなく、過去のガイドラインとして現在のものとは異なるとした。
また2019年1月にこの危険性を指摘したピーターソン研究所に対し、
TikTokのユーザーデータは、業界をリードするサードパーティのデータセンターで運営されている米国およびその他の市場で保存および処理されます。
The Growing Popularity of Chinese Social Media Outside China Poses New Risks in the West
DeepL翻訳
とし、具体的にはシンガポールを挙げて中国には送られていないとしている。
もっともこのピーターソン研究所が指摘している通り、ユーザーがそれに同意しているならば違法な行為ではない。
そこでこの記事が出る前の2018年12月のTikTokのプライバシーポリシーを見ると、そこには明確にこう記されている。
We will also share your information with any member or affiliate of our group, in China, for the purposes set out above, to assist in the improvement and optimisation of the Platform, in order to prevent illegal uses, increase user numbers, development, engineering and analysis of information or for our internal business purposes (How we use your information).
https://web.archive.org/web/20181229033958/https://www.tiktok.com/i18n/privacy/
となっており、中国内のグループ会社などとユーザー情報を共有する、としていた。
なお、この研究所の記事以降、この部分は修正されている。
現在のTikTok(日本)のプライバシーポリシーを見てみると、
収集したお客様情報の共有先
当社は、クラウドストレージプロバイダなど、本プラットフォームの提供を支援している第三者サービスプロバイダとお客様のデータを共有します。また、当社は、ビジネスパートナー、TikTokと同じグループに属する他の企業、コンテンツモデレーション業者、測定プロバイダ、広告主、およびアナリティクスプロバイダともお客様の情報を共有します。法により要求される場合には、法執行機関または規制当局、および裁判所命令により法的に拘束されている第三者とお客様の情報を共有します。
となっており、中国の、とは明記されていない。
しかしながら、「TikTokと同じグループに属する他の企業」というのはやや気になるところではある。
ペーストボード内容の収集について
2020年3月にニュースとなった、TikTokがペーストボードの内容を収集しているという件について、TikTokは数週間以内にこれを修正すると英テレグラフ紙に回答している。
ペーストボードとは、簡単に言うとコピーした内容を一時的に保存しておく場所のこと。
コピー&ペースト(コピペ)の際に、コピーした内容が一時的に保存されている場所だが、TikTokはアプリを立ち上げるたびにこのペーストボードの内容を読み取っていた。
もしTikTokを立ち上げる前に、他のサービスのパスワードなどをコピーしていれば、それが読み取られることになってしまうほか、例えばメールの内容をコピーしてチャットで別の人に転送した、といい他場合にはその内容が漏れることになってしまう。
このためセキュリティ上の危険性が指摘されていたものである。
さて、2020年6月、iOS14のベータ版によりこの修正が3か月たった今も行われていなかったということが判明した。
アプリがクリップボードを読み取ると通知するという形で可視化されたところ、TikTokがこれを続けていたことが判明したもの。
https://twitter.com/jeremyburge/status/1275896482433040386?s=20
これに対しTikTokはスパム行為を識別するように設計された機能に原因があるとし、収集を否定。
このスパム識別機能を削除した新しいバージョンをすでにApp Storeに提出しているとしている。
インド市場を失うということ
今回インドではTikTokを含む多くの中国製アプリへの通信がブロックされることになる。
インド政府はユーザー情報が国外のサーバーに不正に送信されている、など安全保障上の理由を挙げているが、これによりTikTokは2019年に発表したインドへの投資10億ドルが無駄になる。
またユーザーの約1/3を失い、最大60億ドルの損失を被るといわれている。
アメリカ市場でのTikTok
アメリカ国内のTikTokアクティブユーザー数は、2650万人。
2018年10月には、米国での月間ダウンロード数No.1の無料アプリとなった。
ポンペオ国務長官の発言通りアメリカでの利用が禁止された場合、その影響は小さくない。
もともと海外で利用できるSNSは中国国内では使用が禁止されているため、インド、アメリカと人口の多い国での利用禁止が続けば大きなダメージを受けることになる。
オーストラリアでも利用禁止の可能性
moneycontrolはオーストラリアでも違法な情報収集により禁止される可能性があると伝えている。
TikTok could be banned in Australia over allegations of unlawful data collection
日本でのTikTok
各国での利用禁止や警戒が目立つTikTokだが、日本ではやや様相が異なる。
2019年12月 | TikTokと神奈川県は「県政の情報発信・広報についての連携と協力に関する協定」を締結しました! |
2020年2月 | TikTok、埼玉県との初企画 |
2020年2月 | TikTokに東京都公式アカウント開設 |
2020年4月 | 大阪府がTikTokでの情報発信をスタート |
2020年5月 | 広島県がTikTokでの情報発信をスタート |
2020年5月 | 神戸市とTikTokが事業連携協定を締結 |
2020年6月 | TikTokと埼玉県が広報連携 |
2020年6月 | TikTok、横浜市と日本初の防災分野における連携協定を締結 |
2020年6月 | 三重県観光連盟が、都道府県観光振興団体として全国初となるTikTokでの情報発信をスタート |
このように日本においては各自治体がTikTokの利用を拡大しており、海外で見られるような警戒感はない。
※追記:2020年7月28日、TikTokを含む中国製アプリの利用制限を求め、自民党議連が政府へ提言する方針を固めた。
TikTok(ティックトック)、ついにアメリカでの利用が禁止にートランプ大統領が表明、8月1日にも署名かー
TikTok(ティックトック)運営のバイトダンス、米国事業をマイクロソフトに売却決めるもトランプ大統領が禁止方針撤回するかは不明
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カテゴリ:セキュリティニュース
タグ:TikTok,ティックトック