CyberCrewが仮想環境ソフトウェア「swtpm」の脆弱性を報告、Red Hat公式CVEに掲載
東京都千代田区に本社を置く株式会社CyberCrewは、同社のセキュリティリサーチ活動を通じて発見・報告した脆弱性が、Red Hatの公式CVE情報に「CVE-2026-75900」として掲載されたことを2026年9月1日に発表しました。この脆弱性は、仮想環境でTrusted Platform Module(TPM)の機能を提供するオープンソースソフトウェア「swtpm」に存在する境界外読み取り(Out-of-bounds Read/CWE-125)のものです。
Red Hatによる技術分析では、本脆弱性の影響度は「Moderate」、共通脆弱性評価システム(CVSS v3.1)の基本スコアは「6.1」と評価されています。また、Red Hatは報告者としてCyberCrewの所属を謝辞に掲載しています。
CVE-2026-75900の詳細
Red Hat Product Securityは、発見・報告された脆弱性について、自社製品への影響を分析し、CVE情報やSecurity Advisoryを通じて公開しています。今回CyberCrewが報告した脆弱性についても同様に評価が行われ、公式CVE情報に掲載されました。公表されている主な情報は以下の通りです。
-
CVE ID:CVE-2026-75900
-
対象コンポーネント:swtpm
-
脆弱性の種類:Out-of-bounds Read(境界外読み取り)
-
CWE:CWE-125
-
Red Hat Impact:Moderate
-
CVSS v3.1 Base Score:6.1
-
修正版:swtpm 0.10.2
Red Hatは、公開中のCVSSスコアを暫定値としており、今後のレビューにより変更される可能性があるとしています。
swtpmにおける境界外読み取りの問題点
swtpmは、仮想マシン上でSoftware TPMを実現するために利用されるオープンソースソフトウェアです。今回の脆弱性は、swtpmの「SWTPM_NVRAM_CheckHeader()」関数におけるバッファサイズの検証処理に起因します。本来確認すべきデータ構造自体のサイズではなく、データ構造を参照するポインタのサイズを用いて長さが確認されていました。このため、必要なサイズよりも小さいデータが検証を通過し、メモリ領域の一部を範囲外まで読み取る可能性があります。
Red Hatの説明によると、この問題により隣接するヒープ領域の一部が読み取られ、その値がログに出力される可能性があるとのことです。また、環境によってはswtpmデーモンが異常終了する可能性も指摘されています。
オープンソースにおける「責任ある脆弱性開示」の重要性
オープンソースソフトウェアは、OS、クラウド、コンテナ、Webサービスなど、現在のIT環境の広範な領域で利用されています。一つのコンポーネントに存在する脆弱性が、複数の製品やサービスに影響を及ぼす場合があるため、脆弱性を発見した際には開発者や関係ベンダーと連携し、検証や修正を経た上で情報を公開することが重要です。このような取り組みは、Responsible Disclosure(責任ある脆弱性開示)やCoordinated Vulnerability Disclosure(CVD)と呼ばれています。
CyberCrewは、発見した脆弱性を攻撃に利用することなく、適切な手順で関係者へ報告するResponsible Disclosure活動を継続しています。
リサーチの知見を企業向けセキュリティ診断へ還元
CyberCrewは、セキュリティ支援と並行してホワイトハッカーによる脆弱性リサーチを実施し、国内外の企業・組織やオープンソースプロジェクトへの脆弱性報告を継続しています。これまでの活動を通じて、国内外の企業・組織が公開する「Hall of Fame」への掲載や、海外ベンダーの公式Security Advisoryへの貢献者としての掲載などの実績を積み重ねてきました。また、CVDに基づく報告を通じて複数のCVE識別子を取得・公開しています。
これらのリサーチ活動で蓄積した攻撃者視点の知見は、成果報酬型脆弱性診断、ペネトレーションテスト、Redチーム演習といった企業向けサービスに活用されています。
今後の展望
CyberCrewは今後も、Responsible Disclosureに基づく脆弱性の調査・報告活動を継続する方針です。国内外の企業や開発者、セキュリティコミュニティ等と連携し、製品・サービスのセキュリティ向上に取り組むとしています。また、リサーチ活動で得た知見を企業向けサービスへ還元し、企業が自社のリスクを早期に把握し、適切な対策につなげられるよう支援していくとのことです。
ソース元
-
Red Hat公式掲載ページ: CVE-2026-75900 – Red Hat Customer Portal
-
CyberCrew公式サイト
