ランサムウェア被害、過去最多を更新
2026年第2四半期には、データリークサイトの調査により2,139件のランサムウェア被害が確認されました。これは前年同期の被害件数と比較して約33%の増加にあたり、2025年以降、ランサムウェアによる被害が高水準で維持されている状況が示されています。
活動中のランサムウェアグループ数は第1四半期の71から93へと大幅に増加し、過去最多を記録しました。Qilinが279件の被害で4四半期連続で首位を維持し、上位10グループが被害件数全体の約57.6%を占めています。
AIがサイバー犯罪の敷居を下げるか
AIの活用がランサムウェア開発を加速させ、サイバー犯罪への参入障壁を下げている点が注目されます。ランサムウェアグループ「The Gentlemen」の内部チャット分析から、同グループが約9人の中核メンバーで運営され、広範なアフィリエイトネットワークを活用して攻撃規模を拡大していたことが判明しました。
同グループの管理者Zeta88は、DeepSeekやQwenなどのAIコーディングツールを約3日間でランサムウェア管理パネルの構築に活用していたとされ、AIが高度な攻撃ツールの開発を加速させている実態が明らかになっています。Ransomware-as-a-Service(RaaS)モデルや専門化された犯罪サプライチェーンと相まって、従来の高度な技術力や大規模なリソースを持たない小規模グループでも、大きな影響を及ぼし得る市場へと変化していると見られます。
攻撃の焦点はデータ暗号化から窃取へ移行
ランサムウェアの身代金支払率は、2019年の約85%から2026年第2四半期には約23%まで低下しています。これはバックアップ技術の進歩が背景にあると見られます。しかし、バックアップは暗号化からの復旧には有効なものの、すでに窃取されたデータの公開を防ぐことはできません。
このため攻撃者は、データを暗号化する従来型の手法から、窃取したデータを公開すると脅す「二重恐喝」型や、データ流出そのものを主目的とした恐喝へと重点を移しています。2025年のブロックチェーン上でのランサムウェア関連支払総額は8億2,000万ドルを超えており、支払率の低下にもかかわらず、脅威は依然として大きいといえます。
防御側に求められる「防止優先」のアプローチ
ランサムウェアの進化に対抗するため、組織には「防止優先」のアプローチが求められています。CPRは、VPNスキャン、ブルートフォース攻撃、認証情報ブローカーから入手した認証情報などが初期アクセスに利用される事例が多いと指摘しています。
組織はフィッシングや漏えいしたリモートアクセス権限などによる初期アクセスを防止し、悪用可能な脆弱性を迅速に特定・是正することが重要です。また、侵害が発生した場合に備え、ラテラルムーブメントやデータ流出を制限する対策も必要となります。AIを活用したエクスプロイト開発の増加により、攻撃者が組織のパッチ適用よりも早く脆弱性を悪用する可能性も高まっていると警鐘を鳴らしています。
チェック・ポイントの脅威インテリジェンス担当ディレクターであるセルゲイ・シュキエヴィチ氏は、「今四半期における最も重要な発見は、ランサムウェアの被害件数よりも、ランサムウェア攻撃への参入ハードルが劇的に低下している状況だ」と述べています。同氏は、AIを活用したツールやアフィリエイトネットワークの支援により、小規模チームでも短期間でトップレベルのランサムウェアオペレーションを構築できると指摘。組織は事後対応型のセキュリティモデルから防止を最優先とするアプローチへの転換が不可欠であり、AIの活用による攻撃の迅速化を前提とした対策を講じる必要があると強調しています。
ソース:
Check Point Research Blog: Ransomware didn’t slow down in Q2 2026: It just spread out
https://blog.checkpoint.com/security/ransomware-didn’t-slow-down-in-q2-2026-it-just-spread-out/
