企業動向

デジタル終活に新展開:ニュウジアが「継承金庫」提供開始、遺族の「開かないスマホ」問題へ対応


株式会社ニュウジアは、グリーフケア/終活サービス「TalkMemorial.AI」において、デジタル終活の新機能「継承金庫(キーバトン)」の提供を開始しました。本機能は、スマートフォンの暗証番号やネット銀行のIDなど、本人しか知らないデジタル情報を安全に暗号化し、逝去が確認された場合にのみ指定された家族へ引き渡す仕組みです。開示手数料は無料とし、デジタル遺品問題の解決を目指します。

デジタル終活に新展開:ニュウジアが「継承金庫」を提供開始、遺族の「開かないスマホ」問題へ対応

株式会社ニュウジアは2026年8月14日、同社が運営するグリーフケア/終活サービス「TalkMemorial.AI」に、デジタル終活の新機能「継承金庫(キーバトン)」の提供を開始しました。この新機能は、故人のスマートフォン暗証番号やネット銀行・ネット証券のID、サブスクリプション契約、SNSアカウントといった、本人しか知り得ない情報を本人の端末内で暗号化して預かり、逝去が確認された場合にのみ、あらかじめ指定された家族(継承者)へ引き渡す仕組みです。現在、無償で利用でき、遺族が情報を受け取る際の開示手数料は0円とされています。

いつか、開く鍵。キーバトン KeyBaton 大切な情報を、あなたの想いと一緒に託す デジタル終活の新しいかたち ご遺族の開示手数料 0円 3つの条件が揃うまで開かない いま備えることが、家族の安心につながる。

年間約160万人の死亡者、その多くが抱える「開かないスマホ」問題

厚生労働省の「人口動態統計速報」によると、2025年の死亡数は160万5,654人に上るとされています。現代において、亡くなった人々の多くがスマートフォンを所有しており、そのロック解除を巡る問題が遺族にとって大きな負担となっています。

株式会社GOODREIが2025年3月に実施した調査では、故人のスマートフォンのロック解除を試みた遺族381名のうち、約76%が解除に成功したものの、約74%の遺族が「解除が現実的に不可能だと分かった」「解除に労力がかかりすぎる」「パスワード誤りの上限回数に達した」といった理由で困難に直面したとしています。解除に成功したケースでも、「故人が普段使っていたパスワードを試す」「生年月日などから推測する」といった手法が上位を占めており、推測に依存している実態が浮き彫りになりました。

弁護士のコメントでは、スマートフォンのセキュリティが今後さらに強化され、遺族による解除は一層困難になると予測されています。また、株式会社林商会が2025年6月に実施した遺品整理経験者への調査では、約39%がデジタル遺品で困った経験があり、その約4割が最終的に解決できなかったと回答しています。

独立行政法人国民生活センターも2024年11月、デジタル終活の重要性を喚起し、ネット銀行口座の確認やサブスクリプションの解約が困難となる事例を紹介。対策の一つとして、紙にパスワードを記入し、家族が見つけられる場所に保管することを推奨せざるを得ない状況にあり、この問題に対する安全な選択肢の不足が指摘されていました。

「継承金庫」は、こうした「紙のスペアキーを自宅に置く」という状態を、より安全かつ確実に情報を届けられる形に置き換えることを目指して設計されたといいます。

亡くなった時だけではない、デジタル情報継承の必要性

デジタル情報の継承問題は、故人が亡くなった時に限った話ではありません。意識不明の入院、認知症の発症、ネット銀行・ネット証券の口座の存在が家族に知られないまま相続手続きが終わる、サブスクリプションが引き落とされ続けるといった状況でも、家族が情報にアクセスできないことで様々な問題が生じる可能性があります。これらは全て、本人が元気なうちに準備しなければ解決が難しい課題です。

同社は、以下の項目に一つでも当てはまる場合、家族が困る可能性があるとしています。

    • スマートフォンにロック(暗証番号・パターン・生体認証)をかけている

    • ネット銀行・ネット証券・暗号資産のいずれかを利用している

    • サブスクリプションを2件以上契約している

    • 家族が知らないメールアドレスやSNSアカウントを持っている

    • スマートフォンの暗証番号を、家族の誰にも伝えていない

60秒でわかる、あなたに必要かどうか 以下に一つでも当てはまる方は、ご家族が困る可能性があります。

「継承金庫(キーバトン)」の仕組み:二重鍵構造による強固な安全性

「継承金庫」は、デジタル終活を目的としたTalkMemorial.AIの機能です。ブランド名「キーバトン」(KeyBaton)は、鍵(セキュリティ)とバトン(継承)を組み合わせたもので、「いつか、開く鍵。」をタグラインとしています。

預けられる情報の例として、スマートフォン・パソコンの暗証番号、ネット銀行・ネット証券・暗号資産のIDと口座情報、契約中のサブスクリプションと解約情報、SNSアカウントとその後の扱いに関する意思、保険証券・実印・権利証などの保管場所、家族へのメッセージなどが挙げられています。エンディングノートや遺言書には性質上書き込めないパスワードなどの情報を、安全に預けるための場所として設計されたと説明しています。

利用方法は以下の3ステップです。

  • 預ける: 「あいことば」を決め、伝えたい情報を入力。入力内容は本人のブラウザ内で暗号化されてから送信され、平文がインターネット上を流れることはありません。
  • 見守る: 定期的な生存確認の連絡に対し、ワンタップで返事。TalkMemorial.AIへのログインや編集も生存のしるしとして記録されます。
  • 渡す: 継承者を指定すると、本人の端末で「継承キー」がPDFとして生成されます。これを印刷し、家族へ手渡しします。この紙に印字された鍵の断片は、同社サーバーへ一度も送信されない構造です。

いつか、開く鍵。継承金庫(キーバトン)

「継承金庫」の設計思想は「当社は預かる。しかし、あいことばを知らない当社には開けない」とされています。その安全性は、以下の二重鍵構造によって実現されています。

    • 端末内での暗号化(AES-256-GCM): 入力情報は送信前にブラウザ内で暗号化され、同社サーバーが受け取るのは暗号文のみです。

    • 鍵の分割(秘密分散): 家族へ引き渡す鍵は、シャミアの秘密分散法により2つの断片に分割されます。断片1は印刷した「継承キー」の紙で、同社は保持しません。断片2は同社サーバーが暗号化して保管し、開示条件が揃った時にのみ放出されます。片方だけでは復元できない仕組みです。

    • あいことば(Argon2id): 本人が生前に閲覧するための鍵は、本人だけが知る「あいことば」から生成され、同社はあいことばを保持していません。

    • 改ざん検知可能な監査記録と分離された保管環境: 同意・請求・凍結・書類審査・鍵の放出といった重要な操作は、ハッシュを連結した追記専用の監査記録に残り、書き換えると整合性の検証で検知されるとしています。また、継承金庫のデータベース、鍵管理、書類の保管領域は既存サービスとは分離して運用されています。

生存中の誤開示を防ぐ「3つの条件」

デジタル終活サービスに対する最大の懸念の一つである「自分が生きているのに、勝手に開いてしまうのではないか」という不安に対し、「継承金庫」では以下の3つの条件が全て揃った場合にのみ開示が実行されると説明されています。

    • 請求コードの照合: 継承キーに記載された、本人が事前に家族へ渡した固有のコードが確認されます。

    • 異議申立期間の満了: 請求が始まると本人へメールとLINEで通知され、既定14日間(7〜30日で設定可)の期間中に本人がワンタップで請求を停止し金庫を凍結できます。

    • 書類の確認: 死亡届記載事項証明書、除籍謄本、死亡診断書の写しなどの提出と承認が行われます。

生存確認への無応答だけでは開示は発動せず、長期入院や旅行、端末の紛失、通知の見落としといった状況での誤開示を防ぐための設計が施されています。本人はいつでも金庫を凍結できる仕組みです。

他の解決策との比較と「継承金庫」の独自性

デジタル遺品問題に対し、紙に書いて自宅保管する方法は「見つけた人が誰でも読める、見つけてもらえるかは運」という課題があります。貸金庫は開扉手続きに時間と費用がかかり、パスワード管理アプリの緊急アクセス機能は「受け取る側にも同じアプリの利用と操作知識が必要」となる場合があります。また、Apple公式サポート情報によると、大手プラットフォームの死後アクセス委任機能ではパスワード自体が引き継ぎ対象から除外されるケースがあるとされています。Googleアカウントヘルプでは、無活動を条件に自動開示するサービスについて「死亡を直接確認できないため、長期入院や端末紛失など死亡以外の理由でも作動しうる」と案内されています。

「継承金庫」は、こうした課題に対し「端末内で暗号化して鍵を分割」し、「3条件の開示審査」という二つの安全装置で臨んでいます。

「継承金庫」ができないこと

TalkMemorial.AIは「誠実さがサービスの耐久性になる」を設計原則としており、「継承金庫」ができないことも明示されています。

    • あいことばを忘れた場合、同社を含むいかなる方法でも、本人による閲覧は復元できません。

    • 遺言書の代わりにはなりません。相続の法的効力は遺言書にあります。

    • 相続手続きの代行はしません。口座の解約や名義変更は各金融機関等の正規の相続窓口を利用する必要があります。継承金庫は「どこに何の契約があるのか」を伝えるためのものです。

    • 提出書類の確認は形式的なもので、真正性を保証するものではありません。

    • 見守り機能は、死亡を医学的に判定するものではありません。

また、故人のIDやパスワードを無断で使用してログインする行為は、不正アクセス禁止法に抵触するおそれがあるとされています。継承金庫では本人による「継承者の使用を許諾する」旨の明示的な同意を記録し、開示直前の画面でも継承者に法令遵守と正規の相続窓口の利用を案内することで、家族を違法行為に誘導しないための設計が施されています。

料金体系と今後の展開

「継承金庫」は現在無料で利用でき、遺族による開示手数料も0円です。同社は、開示手数料を0円とした理由について「費用が発生する瞬間が、ご家族にとって最も余裕のない時期と重なるため」としています。将来的な想定価格は、スタンダードプランが年額9,800円、プレミアプランが年額19,800円(いずれも予定)とされています。

同社は、保険・金融・介護・葬祭・士業の事業者向けに提携パートナーを募集しており、鍵の断片を第三者として預かる「第三保管者」、死亡診断書や戸籍の確認を行う「書類確認パートナー」、訪問記録などを生存シグナルとして提供する「生存シグナルパートナー」の3つの提携形態を想定しています。

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今後の展開としては、外部の第三者による脆弱性診断と暗号実装レビュー、サイバー保険への加入、第三保管者を加えた鍵の3分割(2-of-3)構成への拡張、関連サービスである高齢者向けAI見守り通話「Care-Call.AI」との連携、提携事業者向けパートナーポータルとホワイトラベル提供が予定されています。なお、同社は現時点で外部監査を完了しておらず、完了した段階で改めて報告するとしています。

株式会社ニュウジア 代表取締役 柏口之宏氏のコメント

株式会社ニュウジアの代表取締役である柏口之宏氏は、「この機能をつくるにあたって最初に決めたのは、『何を実装するか』ではなく『何を実装しないか』でした。パスワードを預かるサービスをつくるなら、事業者が読める構造にしてはいけない。読めてしまえば、いつか必ず読まれます。だから私たちは、自分たちに開けない設計を選びました。技術的な誠実さであると同時に、お客様への約束です」と述べています。

また、「もう一つ決めたのは、ご遺族から開示手数料をいただかないことです。ご家族が最も消耗するのは亡くなった直後の数週間だと、遺族向けサービスの運営を通じて知っています。その時期に請求書を送る事業者にはなりたくありませんでした。終活は、死の準備ではありません。残される人への、最後の思いやりです」と、サービスへの思いを語っています。


ソース元
「もしもの時、家族はあなたのスマホを開けますか?」暗証番号・ネット銀行IDを家族へつなぐ「継承金庫(キーバトン)」をTalkMemorial.AIが提供開始
https://talkmemorial.ai/keybaton

関連サービス:Care-Call.AI(高齢者向けAI見守り通話)
https://care-call.ai

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