映像制作オムニバス・ジャパンがランサムウェア被害 一部ファイル暗号化
映像制作大手の株式会社オムニバス・ジャパン(東京都港区、丸井庸男社長)は、12月9日にランサムウェアによるサイバー攻撃を受け、システム内の一部ファイルが暗号化されたと発表した。現時点で情報漏洩の事実は確認されていないが、可能性について外部専門家による詳細調査を進めているという。
【重要なお知らせ】ランサムウェアによる不正アクセスに関するご報告(第一報)|OMNIBUS JAPAN INC.より引用
納品ファイルは無事を確認
同社によると、9日午前10時頃にランサムウェアによる攻撃を確認した。システムの一部に対する攻撃で、一部ファイルが暗号化されてアクセスできない状態になった。ただし、現在受注している納品に必要なファイルは暗号化されていないことを確認したという。
事実判明後、親会社の株式会社東北新社と合同で対策本部を設置した。外部の専門機関と連携し、該当システムをネットワークから切り離すなど被害拡大防止措置を実施した。
東北新社グループへの影響なし
同社は今回の事案について「弊社のシステムの一部に対するものであり、弊社以外の株式会社東北新社およびそのグループ会社のシステムへの影響は現時点において発生していない」としている。
現在、感染経路の特定と復旧作業、影響範囲の詳細調査、セキュリティ強化を最優先で進めている。個人情報保護委員会への速報や警察への被害相談も実施済みだ。
情報漏洩の可能性を調査中
顧客や関係者から預かった情報その他の情報が実際に外部に漏洩した事実は現時点で確認されていない。しかし、不正アクセスの事実が判明したことに伴い、情報漏洩の可能性について外部専門家に詳細調査を依頼し、徹底的に検証を進めているという。
正確な調査結果の報告には一定期間を要する見込みで、進展があり次第、個別連絡またはウェブサイトで公表するとしている。
年間約4000本の映像を制作
オムニバス・ジャパンは1987年設立のポストプロダクション・VFX制作会社で、東北新社グループに属する。テレビ番組やCM、映画、PV、イベント映像など年間約4000本の映像作品を手がけ、VFXでは国内外で数々のアワードを受賞している。
映像制作業界では、制作中の作品データや顧客情報、取引先情報など機密性の高いデータを扱う。ランサムウェア攻撃では、こうしたデータを暗号化して業務を停止させるだけでなく、データを窃取して二重に脅迫する手口が一般化している。
同社は「お客様、お取引先の皆様、関係者の皆様には多大なるご心配とご迷惑をおかけしている」と謝罪し、早期復旧と全容解明に向けて全力で取り組むとしている。
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カテゴリ:セキュリティニュース
タグ:ランサムウェア,不正アクセス,株式会社オムニバス・ジャパン

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