税務署からの【未払い税金のお知らせ】というメールがフィッシング詐欺かを検証する
公開日:
税務署からの【未払い税金のお知らせ】というメールがフィッシング詐欺か検証します。
このメールの送信元は国税庁を名乗っています。所得税の納付がされておらず、最終期限までに納付がない時は差押処分をする、というメールです。
メール本文は以下の通り。
e-Taxをご利用いただきありがとうございます。
あなたの所得稅(または延滞金(法律により計算した客勛 について、これまで自主的に納付されるよう催促してきま したが、まだ納付されておりません。
もし最終期限までに 納付がないときは、税法のきめるところにより、不動産、自動車などの登記登録財産や給料、売掛金などの值権など の差押処分に着手致します。
• 納稅確認番号:****8160
• 滯納金合計:40000円
• 納付期限: 2022/10/18
• 最終期限: 2022/10/18(支払期日の延長不可)
お支払いへ→ https://www.nta.go.jp
※ 本メールは、【e-Tax】国税電子申告?納税システム(イータックス)にメールアドレスを登録いただいた方へ配信しております。
なお、本メールアドレスは送信専用のため、返信を受け付けておりません。ご了承ください。
発行元:国税庁 〒100-8978 東京都千代田区霞が関3-1-1 (法人番号7000012050002)
Copyright (C) NATIONAL TAX AGENCY ALL Rights Reserved.
まずは送信元を調べてみます。
1 2 |
From: "e-Tax" <e-taxhpkanri@nta.go[.]jp> Return-Path: <e-taxhpkanri@nta.go[.]jp> |
送信者名はe-Taxとされています。送信元・Return-Pathともにドメインはnta.go[.]jpとなっています。これは国税庁のドメインです。
こうした送信者の情報は偽装されることもあります。
そこで送信元サーバーを調べてみます。
1 |
Received: from nta.go.jp (unknown [123.188.36[.]166]) |
123.188.36[.]166というIPアドレスが出てきました。
このIPのwhois情報を調べてみます。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 |
inetnum: 123.188[.]0.0 - 123.191[.]255.255 netname: UNICOM-LN descr: China Unicom Liaoning province network descr: China Unicom country: CN admin-c: CH1302-AP tech-c: GZ84-AP remarks: service provider status: ALLOCATED PORTABLE mnt-by: APNIC-HM mnt-lower: MAINT-CNCGROUP mnt-lower: MAINT-CNCGROUP-LN mnt-routes: MAINT-CNCGROUP-RR remarks: -------------------------------------------------------- remarks: To report network abuse, please contact mnt-irt remarks: For troubleshooting, please contact tech-c and admin-c remarks: Report invalid contact via www.apnic.net/invalidcontact remarks: -------------------------------------------------------- mnt-irt: IRT-CU-CN last-modified: 2016-05-04T00:07:29Z source: APNIC |
中国のIPです。送信元サーバーは上海でした。
次にメール本文中にあるリンクの遷移先について調べてみます。
メール本文をデコードしソースを確認すると、
1 2 |
<P>お支払いへ→ <A style="COLOR: #002c6d" href="https://www.madridembrace.com/jp">https://www.nta.go.jp</A> |
となっており、リンク先はhttps://www.nta.go.jpの国税庁サイトに見えますが、実際の遷移先は
https://www.madridembrace[.]com/jp だということが分かりました。
このドメインのwhois情報を調べてみます。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 |
<span style="font-size: 12.8px;">Domain Name: madridembrace[.]com Registry Domain ID: 2657323007_DOMAIN_COM-VRSN Registrar WHOIS Server: whois.net-chinese.com.tw Registrar URL: https://www.net-chinese.com.tw Updated Date: 2022-10-16T22:10:46Z Creation Date: 2021-11-25T17:33:28Z Registrar Registration Expiration Date: 2022-11-25T17:33:28Z Registrar: Net-Chinese Co., Ltd. Registrar IANA ID: 1336 Registrar Abuse Contact Email: removed email address Registrar Abuse Contact Phone: removed phone number Reseller: Domain Status: ok http://www.icann.org/epp#ok Name Server: A.SHARE-DNS.COM Name Server: B.SHARE-DNS.NET DNSSEC: Unsigned URL of the ICANN WHOIS Data Problem Reporting System: http://wdprs.internic.net/ >>> Last update of WHOIS database: 2022-10-16T22:10:48Z <<< </span> |
レジストラは台湾の網路中文(https://www.net-chinese.com.tw/)という中国語のドメインサービスを行っている会社です。
安全を担保したうえでこのURLにアクセスしてみます。
このように、国税庁のページを模した偽のサイトが運用されていました。
IPアドレスは155.94.177[.]63です。
IPよりホスティングサービスを確認すると、ASNはQuadraNet Enterprises LLCで例によって米国QuadraNetのホスティングサービスを利用したものでした。
遷移先の画面から進むと
税の支払いと称して、オンラインでの支払いを求められます。
支払いの方法は、Vプリカのみとなっています。
このように、Vプリカを使用した直接の支払いを求めてきます。
複数回当サイトで紹介している、国税庁からのメールの検証と同じ手口です。
2022年8月の記事:税務署からの【未払い税金のお知らせ】というメールがフィッシング詐欺か検証する
2022年10月の記事:【差押最終通知】もし最終期限までに 納付がないときは、税法のきめるところにより、不動産、自 動車などの登記登録財産や給料、売掛金などの值権など の差押処分に着手致します。というメールがフィッシング詐欺かを検証する
税務署からの【未払い税金のお知らせ】というメールはフィッシング詐欺
税務署からの【未払い税金のお知らせ】というメールはフィッシング詐欺です。
このメールの送信者名は国税庁を名乗り、国税庁の公式アカウントからではなく、上海のサーバーより送付しています。
メールの遷移先は台湾の中国語系サービスを行うレジストラのドメインで、米国のホスティングサービスを利用した偽サイトです。
このサイトから、クレジットカード情報等は求められませんが、Vプリカでの支払いを求められます。
くれぐれもこういった不審なメールから誘導されるサイトへは訪問せず、個人情報などを入力しないようご注意ください。
関連記事
カテゴリ:フィッシング
タグ:スパムメール,フィッシング詐欺,国税庁,差押最終通知,所得税