仮想通貨投資に誘う国際ロマンス詐欺 第1話
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仮想通貨・NFTアートに関連した投資詐欺・国際ロマンス詐欺と思われる事例を紹介します。
ある女性が、Instagramを通じてシンガポール在住の中国系男性と知り合いました。
男性はインスタ映えする豪華な暮らしぶりの写真と、コレクションしているNFTアートをInstagramで日々投稿をしていました。
連絡を取りあうようになると、女性に対しては甘い言葉DMで送り続け、「妹が日本にいる」「もうすぐ日本に行く」などとも言っていました。
もとよりNFTアートに興味があった女性は、人気のNFTアートを所有しているというこの男性と意気投合し、色々なことを教わりました。
そして、自分自身でもNFTアート購入を夢見ていました。
「一緒にNFTアートを買って億万長者になろう」
その後男性は、仮想通貨の購入と、一緒にイーサリアムのバージョン2のステーキングに参加することを薦めてきました。
「一緒にNFTアートを買って億万長者になろう」と誘われたのです。
この時女性はこの男性に好意を抱いており、すっかり信頼していました。
女性が投資用の仮想通貨を用意したところで、男性はバリデーターになりステーキングに参加するためのサイトへのリンクを送り、手順を細かく説明しました。
送られてきたサイトがこちらです。
https://ethereum-v2[.]net/
安全を担保した上で、アクセスしてみます。
数か国語に対応しており、とてもしっかりしたサイトに見えます。
リアルタイムの問い合わせチャット機能もついてます。
指定のウォレットと接続すると、簡単にコントラクトを作成し仮想通貨を投入することができます。
が、サイト内を探しても、これを運営している団体や会社の情報はサイト上に一切ありません。
フッター部分に、ホワイトペーパーのリンクがありますが、リンク先はpdfで、イーサリアムのホワイトペーパーと同じ内容が表示されました。
サーバーの情報を確認しました、クラウドフレアを使っており、詳細がわかりません。
whois 情報を確認します。
2022年4月5日にできています。ずいぶん新しいサイトです。
検証ツールでサイトのソースコードを確認すると、CSSの中に、中国語がありました。
このことを女性に説明すると、この女性は男性に
「このサイトはどこのサイトですか?怪しくないですか?中国のサイトではないかと思うのだけど」と問い合わせました。
SNS上では恋人同士ですから、単刀直入に聞いてしまったのでしょう。
「これはイーサリアム2.0の公式サイトだよ」
金額も小さくないですから、この女性が不安に思うのも無理はありません。
しかし男性は、「これはイーサリアム2.0の公式サイトだ」と答えたそうです。
イーサリアムの公式サイトのアドレスは
https://ethereum.org/
です。男性は嘘をついているようです。
私達が更に調査を進めると、このサイトと全く同じ見た目の、異なるドメインのサイトの存在を確認しました。
https://eth2-activity[.]me/
https://eth2-activity[.]net/
https://eth2-activity[.]com/
安全を担保した上で、アクセスしてみます。
https://eth2-activity[.]me/のスクリーンショットです。
彼女が投資したサイトとほとんど同じですが、ロゴが異なります。
検証ツールを使うと、CSSで同じ箇所が中国語でした。whoisの情報は表示されませんでしたが、IPは同一でした。
https://eth2-activity[.]net/のスクリーンショットです。
.meのサイトと全く同じに見えます。
このドメインのサイトは、既に見ることができなくなっています。
現在も動いているものと、もう公開されていないサイトがあるようです。
フィッシング詐欺と同様、サイトを作っては閉じ、作っては閉じを繰り返しているように思えます。
稼働中のサイトを確認すると、同じようにウォレットと接続ができる仕組みでした。
サイト開発時の環境が誤って公開されているとは、考えにくいです。
そして、報酬が止まる
女性が投資をした後、数回は報酬がウォレットに入ったのですが、その後報酬は入らなくなりました。
女性が上記のように複数の同一サイトの存在確認した、お金を返して欲しいと彼に伝えると、彼は大慌てになり
「誰からこのサイトのことを聞いたんだ?」としつこく彼女に質問してきたそうです。
翌日彼は彼女とのSNSを全てブロックしました。
投資した金額は、14日で戻ってくると言われていましたが、14日後に問い合わせると、色々と理由をつけてお金は戻ってきませんでした。
普段当サイトでご紹介しているように、偽サイトを使ったフィッシング詐欺とは性質が異なるということもあり、 今回ここでは詐欺とは断定しないことにします。
手口は、国際ロマンス詐欺・ポンジスキームを利用した投資詐欺に大変よく似ています。
男性が言っていた、
「これはイーサリアムの公式サイトである」という話や、そっくりなサイトを発見して、女性がいきなりブロックされてしまったこと等を考慮すると、詐欺である可能性はとても高いでしょう。
SNSや出会い系アプリを利用し、恋人同士のようになって投資話を持ち掛ける手口は、最近とても流行っているようです。気を付けましょう。
(仮想通貨投資に誘う国際ロマンス詐欺 後編 次々と現れる被害者たち へ続く)
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カテゴリ:仮想通貨
タグ:ETH,NFTアート,イーサリアム,仮想通貨,仮想通貨投資に誘う国際ロマンス詐欺,国際ロマンス詐欺