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生成AI時代の偽情報対策に光明か、能動的プレバンキングで「見抜く力」向上 Classroom Adventureが総務省事業で中間成果


生成AI時代の偽情報対策に光明か、能動的プレバンキングで「見抜く力」向上

株式会社Classroom Adventureは、総務省が推進する「インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業」において、中間成果となる実証実験を実施し、その結果を2026年1月5日に報告しました。生成AIを活用した「能動的プレバンキング」の手法が、体験者の偽情報・誤情報に対する識別能力を有意に向上させることが定量的に確認されたといいます。

総務省「インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業」における中間成果

能動的プレバンキングで「心理的免疫」を形成

生成AIの普及に伴い、誰もが高度な偽・誤情報を作成できるようになった現代において、情報の真偽を目視で判断することは困難になりつつあります。こうした状況を受け、従来の事後的なファクトチェックに加え、偽情報に接触する前に認知的な抗体(心理的免疫)を形成する「プレバンキング」の重要性が高まっています。

同社が開発・実証を進める技術は、「偽・誤情報サンドボックス」を中心としたものです。ユーザーが安全な仮想環境内で生成AIを用いて擬似的な偽情報を作成・検証する体験を通じ、偽情報の生成プロセスや拡散メカニズムを構造的に理解させることを目的としています。受動的に知識を得るのではなく、自らが「作成者」の視点に立つ「能動的プレバンキング」を採用することで、より強固な情報リテラシーの獲得を目指すとしています。

プレバンキングアプローチのシステム構成図

実証実験で偽情報を見抜く力が向上

開発されたプロトタイプ(α版)を用いた実証実験は、2025年11月28日に実践女子学園中学校の3年生38名を対象に実施されました。

プログラム実施前後にオンラインアンケートを行い、本物1件とフェイク3件(なりすまし、ものまねサイト、AI生成画像)を提示し、それぞれの「信頼スコア」(1〜7の7段階評価)の変化を測定しました。信頼スコアは、1に近いほど「まったく信頼できない」、7に近いほど「とても信頼できる」と判断したことを意味し、フェイク情報ではスコアが低いほど「見抜けている」状態、本物情報では高いほど望ましい状態として扱われました。

今回の授業では、「偽・誤情報サンドボックス」を用いて、以下の3パターンの偽情報について体験・分析しました。

  • なりすまし(AIによる顔差し替え技術):著名人の顔をAIで合成し、投資詐欺などへ誘導する手口。有名人が勧めているように見せかけ、信頼を獲得する仕組みを学びました。

  • ものまねサイト(AIによる高度なコード生成):寄付サイトや有名ブランドの公式オンラインストアに酷似した偽サイトを作る手口。URLのドメイン、不自然な日本語表現、公式サイトとのレイアウト差などから見極めるポイントを学びました。

  • AI生成画像:生成AIで作られた災害写真や群衆写真など、一見もっともらしい画像を「実際のニュース写真」のように見せかける手口。建物や手足の形、光と影の向き、水面や看板の反射など、AI画像特有の不自然さに注目し、他の情報源と照らし合わせて真偽を確かめる方法を学びました。

授業で取り扱われた偽情報の例

AI生成画像への「盲信」が顕著に低下

実証実験の結果、体験後にはすべてのカテゴリーにおいて信頼スコアの有意な低下が確認され、偽情報を見抜く力が向上したことが示されました。特にAI生成画像に対する信頼スコアの変化が顕著でした。

  • なりすまし:事前2.13 → 体験後1.89(−0.34)

  • ものまねサイト:事前3.34 → 体験後2.16(−1.18)

  • AI生成画像:事前2.81 → 体験後1.42(−1.39)

信頼度テストの比較グラフ

フェイクニュースに対する信頼スコアが向上した生徒は全体の約55%に上るといいます。中でもAI生成画像については、約7割超(71.4%)の生徒で信頼スコアが改善しました。

高い満足度と学習実感

プログラムの満足度調査では、「プログラムは楽しめましたか?」に対し、「とても楽しめた」「楽しめた」と回答した生徒が97%。「フェイクニュース/偽・誤情報について理解は深まりましたか?」に対しては、97%が「とても勉強になった」「勉強になった」と回答しました。さらに、「実際のSNSやニュースを見るときに役立ちそうだと感じますか?」という問いには、100%の生徒が「とても役立つと思う」「役立つと思う」と回答しています。

プログラムの満足度と学習実感に関する円グラフ

参加者からは、「2つの画像を入れるだけで新しい画像が作れるのに驚いた」「AIは今まで正しいと思っていたが間違った情報も教えられているのは怖いと思った」といった声が寄せられました。また、「自分たちで実際にフェイク画像を作ったり動画を作ることで、ほかの人がいかに簡単に人をだますことができるのかを知ることができた」「光の当たり加減や影の感じを見てAIか判断できるというのは驚いた」といった、能動的な体験から得られた具体的な学びが報告されています。

今後の展開

同社は今後、技術の社会実装に向けた教材の最適化や、動画や音声といったマルチモーダルへの対応を進めていくとしています。

株式会社Classroom Adventureは、慶應義塾大学の現役学生が立ち上げたEdtechスタートアップです。誤情報・偽情報をテーマにした情報リテラシープログラム「レイのブログ」は世界10カ国で2万人以上が体験し、闇バイトの危険を疑似体験する「レイの失踪」は東京都・兵庫県・鳥取県などの自治体と連携し全国の教育機関に導入されています。2024年からはファクトチェック世界大会「Youth Verification Challenge」を米Google社より引き継ぎ主催するなど、ゲーミフィケーションを活用した「楽しすぎる」学びを提供している企業です。


ソース元

【成果報告】総務省「インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業」における中間成果 -能動的プレバンキングによりフェイク情報(偽・誤情報)を見抜く力が向上
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000150683.html

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press プレスリリースを元に、サイバーセキュリティ関連の企業動向を配信しています。情報の正確性についてはソース元をご確認ください。



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